シニア野菜ソムリエ花井綾美と「広島の大地の旬」をいただきましょう
2014年11月18日

観音ねぎの根

長文ですが、ぜひ読んでください。
広島菜といえば、広島の代表的な伝統野菜であり、
漬け物にした広島菜漬は暮らしのなかから生まれた特産品です。
その発祥の地である川内地区では、より良い広島菜を育てるために、
昔から「中入れ(なかいれ)」という作業が行われてきました。
中入れとは、広島菜と広島菜の間にワラを敷くこと。
ワラを敷くことで強い雨が降っても泥が広島菜にかかるのを抑え、
広島菜が病気にかかりにくくなります。
また土が固まらず、通気性の良い畑を維持し、
さらに追肥が緩やかに畑に吸収されます。
広島菜収穫後にはワラが畑の栄養分と変わり、
良い土づくりへと繋がる、などなど
中入れには多くのメリットがあります。
だからこそ、広島菜の産地では労力をいとわず、
今ではワラが希少なためコストがかかる中入れを
続けてきたのです。ところが!
産地に130年続いてきたいわば農の伝統作業が、
禁止されたというのです。
理由は、葉の間にワラが混入した広島菜が漬物にされた際、
異物混入としてクレームになるからだそうです。
消費者からのクレームを防ぐために
生産者に中入れを禁ず製造者の立場は理解できます。
でも、消費者に理解を促す努力が必要ではないでしょうか。
なぜワラが入っているのか、そのわけを知れば、
私たち消費者も「いいよ、洗えば大丈夫だから」という気持ちには
ならないでしょうか。
稲や麦の茎を干したワラは昔から大切に活かされてきました。
家畜の飼料や燃料にするほか、束ねて編んで草履やフトン、人形にも。
自然の恵みを異物だなんて。
そうは、思いませんか?
広島菜を作ってきた農家のせがれの声をきいてください。
「漬物からワラが出てくるのはイヤかもしれんけど、
中入れを止めたら土地が痩せる。良い野菜を育てられなくなる。
そのことを知ってくれ」

広島のもう一つの伝統野菜「観音ねぎ」は
ワラで束ねて出荷されてます。
だから、ビニールで束ねられたネギの1.5倍の値段でも
わたしは、こちらを選びます。農家さんの矜恃に敬意を込めて。

 

2014年11月2日

カボチャ2014

今年も集めました、台所のかぼちゃコレクション。
さぁ、みんないい顔してよ、と記念撮影です。
どうです、セザンヌの絵のようではありませんか。
むかって右から、ひょうたん型はポタージュにするとおいしいバターナッツ、
ごぼごぼのラグビーボール型はロロン、
深緑色のおちびさんはホクホクおいしい坊ちゃんかぼちゃ、
可愛い黄色はプッチーニ、後方と手前の首長は、鶴首カボチャ。
そして左端は、極粉質の恋するマロン。
かぼちゃだけでもこれだけの種類が揃う野菜、
楽しみは尽きません。

日本かぼちゃ1

これは、昨年入手した日本かぼちゃ。
大きい、皮がかたくて調理しずらいなどの理由で、
いまや市場から姿を消してしまってさびしいかぎりです。
現在日本で栽培されているカボチャを分類すると
「日本かぼちゃ」「西洋かぼちゃ」「ペポかぼちゃ」の3種類。
日本かぼちゃは粘質でねっとりしていて、しょうゆとの相性がよく、日本料理に向きます。
40年ほど前までは市場の主流でしたが、
食生活の洋風化とともに生産も少なくなったといいます。
現在はほとんどが調理法の多い西洋かぼちゃ(1枚目の写真にあるもの)。
ペポかぼちゃは、おもちゃカボチャとも呼ばれ形や模様が可愛いのが特徴。
1枚目の写真にあるプッチーニやズキーニもこの仲間です。
市場やスーパーで、ちょっと珍しい野菜をみかけたら、
ぜひ買って調理にチャレンジしてみてくださいね。
思わぬ嬉しい発見もあるはずです。

 
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