長文ですが、ぜひ読んでください。
広島菜といえば、広島の代表的な伝統野菜であり、
漬け物にした広島菜漬は暮らしのなかから生まれた特産品です。
その発祥の地である川内地区では、より良い広島菜を育てるために、
昔から「中入れ(なかいれ)」という作業が行われてきました。
中入れとは、広島菜と広島菜の間にワラを敷くこと。
ワラを敷くことで強い雨が降っても泥が広島菜にかかるのを抑え、
広島菜が病気にかかりにくくなります。
また土が固まらず、通気性の良い畑を維持し、
さらに追肥が緩やかに畑に吸収されます。
広島菜収穫後にはワラが畑の栄養分と変わり、
良い土づくりへと繋がる、などなど
中入れには多くのメリットがあります。
だからこそ、広島菜の産地では労力をいとわず、
今ではワラが希少なためコストがかかる中入れを
続けてきたのです。ところが!
産地に130年続いてきたいわば農の伝統作業が、
禁止されたというのです。
理由は、葉の間にワラが混入した広島菜が漬物にされた際、
異物混入としてクレームになるからだそうです。
消費者からのクレームを防ぐために
生産者に中入れを禁ず製造者の立場は理解できます。
でも、消費者に理解を促す努力が必要ではないでしょうか。
なぜワラが入っているのか、そのわけを知れば、
私たち消費者も「いいよ、洗えば大丈夫だから」という気持ちには
ならないでしょうか。
稲や麦の茎を干したワラは昔から大切に活かされてきました。
家畜の飼料や燃料にするほか、束ねて編んで草履やフトン、人形にも。
自然の恵みを異物だなんて。
そうは、思いませんか?
広島菜を作ってきた農家のせがれの声をきいてください。
「漬物からワラが出てくるのはイヤかもしれんけど、
中入れを止めたら土地が痩せる。良い野菜を育てられなくなる。
そのことを知ってくれ」
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広島のもう一つの伝統野菜「観音ねぎ」は
ワラで束ねて出荷されてます。
だから、ビニールで束ねられたネギの1.5倍の値段でも
わたしは、こちらを選びます。農家さんの矜恃に敬意を込めて。