シニア野菜ソムリエ花井綾美と「広島の大地の旬」をいただきましょう
2008年7月7日

入眠用の扇風機を用意する暇を与えず、寝苦しい夏の夜が来た。
冷蔵庫から飲み残しのワインを取り出し、
いったん締めたガラス戸の鍵を開けて庭に出る。
キャンドルを庭石の上におき、
ほたる火のような灯りを眺めながらハミング。
グラス1杯で酔ってしまえる安上がりなひとり酒宴をお開きして
やっと眠りについた翌朝、
朝日新聞の書評のページにこんな一文を見つけた。
「あのね。わたし、木に恋してしまった」
イギリスの女性作家の短編「五月」の書き出しの一行。
むせるように濃厚な緑の匂いのなかにたたずんでいる時の
あの胸をしめつけられるような切なさは、たしかに恋に似ている。
五月に生まれたわたしは、
岩を流れる水音がかすかにきこえる林の木の下に
骨を埋めて欲しいとさえ思う。
土に還り、やがて大樹になる1粒の種の養分になれば本望。
それまでは、目に映る木々たちから
明日も生きていく力をもらおう。なんてね。


2008年7月2日
TV録画しておいた「リトルダンサー」を観る。 貧しい炭坑町で育った少年ビリーがバレエを学ぶために、 ロンドン行きのバスに乗り込むシーン。 ひとり町を出て新しい世界に飛び込む息子を 見送るのが辛くて背を向ける父親。 走り始めたバスを追い、ガラス越しの弟に叫ぶ兄。「I miss you!」 観るのは3度目なのに、また泣いてしまった。 18歳でイギリスに発った息子との別れの日がオーバーラップしてしまうから。 新幹線の窓側に座った息子は正面を見つめたまま、 飛び立つパイロットのように、敬礼をして発った。 「行ってくる」「がんばるから」「さようなら」・・・・ さまざまな言葉に代えた敬礼が、たまらなかった春の日のプラットホーム。 遠い日を思い出す雨の午後は、 キム・カシュカシャーンのヴァイオリン「アストリアーナ」。 名前の響きがいいでしょ。 静かに炎がゆれるラテンの調べが胸にしみます。 (UCCE-2064) ちなみに映画のラストは、プリンシパルとなったビリーの舞台シーン。 アダム・クーパー扮するビリーが、すばらしい肉体美と跳躍を見せます。    
 
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