朝夕の冷えこみが、冬。 うちの野菜市にも冬野菜が届く。 白菜、しもたやネギ、かぶ、春菊・、ゆず 収穫されたばかりの野菜は土の匂いを忘れず、 比婆の里の清々しい冷気をふくんで生気に満ちている。 赤ちゃんを抱いた若いママが わぁ!パリパリですねぇ、と言いながら 土間に並べた野菜を嬉しそうに選んでくれる。 この前りんごがおいしかったけえ、また買いに来たんよ と近所のご年配。 そんな人たちがひとりでも待っていてくださるかぎり、 この小さな野菜市をひらき続けよう。
そして夕方、かぶを酢の物に。 ゆずの皮をむく、思わず 「あ、いい香り!」 トントンとかぶを刻み、昆布を切る。 きれいで白くて粘りがある里芋は、今夜は汁物に。 こうして、きょうも、 台所は、しあわせな場所になる。 サンマに塩をして夕食の支度完了、午後7時。
夕食の支度をしていると、 広島県北の初雪を伝えるニュース。 ふる雪の映像を見て、昨季の西城の雪を思い出した。 山と空以外のすべてを覆い、すべての音をつつみ込む雪の魔法。