朝夕の冷えこみが、冬。
うちの野菜市にも冬野菜が届く。
白菜、しもたやネギ、かぶ、春菊・、ゆず
収穫されたばかりの野菜は土の匂いを忘れず、
比婆の里の清々しい冷気をふくんで生気に満ちている。
赤ちゃんを抱いた若いママが
わぁ!パリパリですねぇ、と言いながら
土間に並べた野菜を嬉しそうに選んでくれる。
この前りんごがおいしかったけえ、また買いに来たんよ
と近所のご年配。
そんな人たちがひとりでも待っていてくださるかぎり、
この小さな野菜市をひらき続けよう。
そして夕方、かぶを酢の物に。
ゆずの皮をむく、思わず 「あ、いい香り!」
トントンとかぶを刻み、昆布を切る。
きれいで白くて粘りがある里芋は、今夜は汁物に。
こうして、きょうも、
台所は、しあわせな場所になる。
サンマに塩をして夕食の支度完了、午後7時。