シルバーウイークで高速道路は県外ナンバーの車の波々。
品川、尾張小牧、なにわ、和泉、倉敷・・・
そんな休日のラッシュを避けて、郊外の人家もまばらな山の中へ。
山水の流れる音だけが聞こえる林道。
クマが出てもおかしくない、
ひっそりと静まった木立のなかを歩きながら
萩の花をながめ、ススキの穂をなで、
山栗を拾い、大木にからまるアケビを採ります。
山栗はとても小さく可愛くて、まさに栗坊や。
原種だからとてもおいしいのだそうです。
拾ったその場で皮をむき、口の中にポイ。
はじめて生で食べる栗は濃厚なナッツの味わい、
かすかな渋みが口のなかに残ります。
おいしくて滋養豊かな木の実が、
動物たちの冬の食糧となるのを実感できます。
こうして生の栗をかじり、アケビの実を割って食べると
身の回りに自生するもので日々の食をまかなった
昔の人たちの生活がしのばれます。
木に登り、川にもぐり、土を掘り、
手足を使って食べるものを確保した時代が、
とても健全に思えます。
そして澄みきった空気を胸いっぱいに吸い込み、
木立のうえに広がる空を眺めていると
これ以上は「何もいらない」
幸せな思いがこみ上げてくるのです。
茶色の落ち葉はホウの葉。
この日同行者が足元に落ちた葉を拾い、
器用な手つきでヒコーキにして飛ばしました。
ひらりと谷へ舞い降りて木の枝に止まった
その姿があまりに美しかったので、
一枚家に持ち帰り、自分で作って飛ばしてみたら
お尻からドズンと着地。どう見ても不格好です。
街なかで生まれ育ったうさぎが
はじめてふれる自然のかずかず。
こうしてさまざまなことを手と心で教えられながら、
考え方も、ものの感じ方も、
よりナチュラルにゆたかになってゆきます。