北広島町に鉄作家の木本一之さんを訪ねました。
ここは木本さんの生まれ故郷、
ドイツ、スイスで鉄の修業を積まれた後に、ここに帰って
アトリエを構えたということです。
作品がおかれたアトリエ、
手ごわい材質の鉄から生まれる作品群、
どれだけの時間と汗がかかっているかと思うと、
「すごーい」の一言です。
表現力が乏しくてスミマセン・・・
どれかひとつ、気に入ったのを持って帰っていいよと言われたら、これ。
展覧会や個展で作品を観るとき、
いつも「どれかひとつ」ごっこをします。
これをやると自分の好きな作品がよくわかります。
こちらは、仕事場。
コークスを燃やして鉄を溶かす台、
作品を創り出す作業がハードであることを理解できます。
整然と並ぶ道具たち、年季が入っています。
なかでも木本さんが一番大切にしているのが、このツノドコ。
鉄を熱いうちにたたき、成形する道具です。
修業先のスイスからわざわざ船便で持って帰ったと聞いて、
こんなに重いものをなぜ?
200年前に鍛造されたもので、今ではもう手に入らない
貴重な道具なのだそうです。
トップの端がわずかに欠けていました。
この広く静かな仕事場で、ひとり黙々と鉄が欠けるほど、
槌を打つ日々。
「打ち込む」という言葉を、思い起こしました。
わたしも、打たなきゃ、へこたれるにはまだ早い。
この日、疲れを押して誘われるままに来た北広島町。
心と体が折れそうなとき、野菜の(?)神さまは
いつもこうした形でカンフル剤を用意してくださいます。