大統領は言います。「過剰な装飾はいらない、素材の味を感じたい。
本物のシンプルな味を。祖母の味さえあれば私はとても幸せだ」
そんな大統領の思いに応えて、女料理人はエリゼ宮に出入りの業者ではなく、
農場や牧場に掛け合い、足を運んで、土地の素材を調達していきます。
そして、祖母や母から教わった伝統の家庭料理で彼を喜ばせるのです。
モデルとなったミッテラン大統領は、
大手スーパーが冷凍のタネでパンを焼いて売ろうとするのを阻止し、
町のパン屋を守った人でもあります。
女料理人ダニエル・デルプシュさんは現在、
故郷フランスのペリゴール地方でトリュフ農園を経営。
「食は人を幸せにする最大の武器である」という彼女の言葉が、
画面いっぱいに感じられる映画でした。
この映画の中で贅沢な食材のイメージをもつトリュフが、
大地の匂いと生命力の強さで迫ってくるのが印象的でした。
行き着くところ、食の豊かさは長い歳月のなかで醸されてきた
伝統の味、郷土の食材にあるのだと思います。