野菜アドバイザーの研修で、広島菜の産地へ。
広島菜は広島の伝統野菜で、九州の高菜、信州の野沢菜と並ぶ3大漬け菜です。
この日訪ねた安佐南区の川内地域は、古くから良質の広島菜が育つ名産地で、
贈答用の広島菜漬のほとんどがここから出荷される広島菜で作られるそうです。
しかし、農地の宅地化はここにも見られ、出荷量は年々減少の傾向に。
米の消費減にともなって、若い人の漬けもの離れも進んでいます。
先人の知恵と工夫に生かされた広島の伝統野菜、
その香りと味わいを絶やさぬために、しっかりごはんを食べましょう。
おむすびを広島菜で包んで広島菜むすび、
カツオ節を芯にして広島菜巻き、細かくきざんでチャーハンもgoodです。
おはなしをお聞きしたのは、広島市の小学校の社会科の教科書にも登場する篤農家の倉本さん。
先祖代々耕し続けて肥えた畑と高い耕作技術が、立派な広島菜を育てます。
雑草の1本もなく広島菜が整然と並ぶ畑の美しさに、プロの丹精を感じます。
この1年、研修のお世話をしてくださるのは広島市農林振興センターの富田さん。
広島市の農業の振興のために、平日休日かまわず飛びまわっておられます。
最近ニュースになっているTPPは、
環太平洋地域の国の間で米や小麦粉など農産物の貿易自由化を図るもの。
海外から安い農産物がなだれ込んでくることは、今でも苦しい日本の農家を脅かすものです。
がんばっておられる農家、それを支援する関係者の方々の気持ちを知れば、
私たち生活者もご飯を主食とした日本型の食生活をこころがけ、
野菜のおいしさを知り、地産地消を実践していかねばと強く思います。
広島菜の多くは農家さんが優れた品種を自分の手で守る
自家採取(自分が育てた作物から種をとり、また次の年の収穫につなげる)です。
そして、広島菜の畑のなかにときたま混じるのが偶発的な交配種。
「近所の家庭菜園の小松菜との交配かも・・・」と、倉本さん。
素人から見れば自然のおもしろさであり、プロの農家にしてみれば厄介の種。
倉本さんが抜いて軽トラの荷台に置かれていたものを、頂戴しました。
葉の先の方は広島菜でありながら、軸の方は小松菜っぽい。
市場には決して出ない不思議野菜、中華風に鶏ガラスープで炒め煮して食べてみました。