あれは、中学生の時。
母と姉たちと台所でおしゃべりしていたら
床下で、ポン!と小さな爆発音がした。
母が作った葡萄酒が醗酵し、
ガス?が瓶の栓をはじき飛ばしたのだった。
「あら、ら」と、母は床板をめくり、
おかしくってケラケラ大笑いの娘たちに、
酒になる直前の赤紫色の液に砂糖を加え
ジュースにして飲ませてくれた。
そんな昔のことを思い出したのも、
わ
っちの胸んなかも、ただ今醗酵状態。
開けちゃならない栓だから、
こみあげてくる泡を、ぐーと抑えて。
こんな夜の一杯は、チリの赤ワイン。
夏のはじめに見た燃えるような夕空を夢の肴に、
早く寝てしまおう。