キュウリやオクラのようにこれから実をむすぶための花、
大根やネギのように種になっていのちをつなぐための花、
どちらも息をのむほど美しいけれど、
これから種をこぼす花に心動かされるこの頃です。
誰かのために、なにかのために、
鳥に食べられてうんちになってどこかに落ちるのも楽しそう。
そう、私のコードネームはyasai-no-hana。
写真は、さて何の花でしょう？

答えは、にんじん。

きょう入梅。せっせと梅仕事。
今年の梅仕事はちょっと特別です。
92歳になる母が生まれ育った家の南高梅。
母が幼い頃から遊んだ庭で実ったかと思うと、１つ１つを大事に。
丁寧にへそを取りながら、いまはホームでお世話になる母がどんな顔をして
この梅シロップを飲むだろうかと。
末娘として可愛がられた日々が蘇るでしょうか。
初恋の人がトランペットを持って会いにやって来た日を思い出すでしょうか。
きっと、にっこり笑って言います「ああ、おいしいね。こんなにおいしいのははじめて」。
酢の物を作って行っても、好物のいちじくを持って行っても「ああ、おいしいね」。
母のなかの花畑で一緒に過ごす穏やかなひとときは、
嬉しくもありちょっと哀しくもあり。
どうか、今まででいちばんおいしい梅シロップになりますように。