この旅、いちばん心に残るのは夕暮れ時の田舎の散策。
ゆったりとした行程で、夕方早くホテルに入るので夕食後、近くを散策できます。
紅茶の国らしくホテルの部屋には必ずティーセットが用意されているので、
散策を終えたらゆっくりとお茶。午後8時を過ぎて、やっと日が暮れます。
珍しいものを観るというよりは、異国の暮らしを体感したいという思いが強いので、
町を散歩したり、地元の人が通う店で買い物したり、そんな時間がとても楽しい。
この日泊ったホテルは、田園地帯のなかにあり、まわりは見渡すかぎり緑、緑。
映画で観るような貴族の館の広大な敷地内では、戯れ遊ぶ2頭の鹿を見ました。
ここもナショナル・トラストの管理地になっており、シンボルであるカシ?の葉のマークがついていました。
イギリスでは個人の私有地でも自由に立ち入ることのできる「バブリック・フットパス」なる道があり、
ルールさえ守れば立ち入って散策を楽しめます。
敷地内には馬や羊が飼われているので、出入りの際は必ず柵の戸は閉めておく。
動物にエサは与えない、植物を荒らさない、ゴミは持ち帰ることなどでしょうか。
フット・パスの入り口には黄色の矢印マークがついているのですぐ分かります。
夕暮れまでのひととき、静かで美しい風景の中を歩く、夢のような時間です。
名前は忘れましたが、サラダに羊のチーズ。匂いもなく食べやすい味です。
くる日もくる日も、バスは羊が遊ぶ牧草地帯を走ります。
日本の約三分の二の国土をもつイギリス、山がなく平坦なのでとてつもなく広く感じます。
目に入るものは、空と緑と羊の群ればかり。
かつてこの国を自転車で単独縦断した息子の言葉を思い出しました。
「何日も何日も、目にふれる生きものは羊だけ。日が暮れた草むらで羊にメェー、て話しかけたくなる気持ち、わかる?」