炭火焼と野菜料理の店「山人(さんと)」へ。
長い木のカウンターの向こう、坊主頭でキビキビと仕事する
背筋の伸びた料理人の姿を見ただけで、
おいしい料理を期待できます。
まず、生ビールで季節野菜の揚げびたし。
四万十川の鮎と帝釈峡のシャモ地鶏の炭火焼。
ここらで日本酒にして、三和桜の冷酒。
冷酒のグラスに、もう一つ大きなグラスに
よく冷えた仕込み水を注いでくれます。
季節野菜の天ぷらには、藻塩。
小皿の塩が切れた頃に、ご主人と目が合ってニッコリ。
塩が・・・と言ったら「これ特別」と、トリュフ入りの塩が目の前に。
独特の香りで、ピーマンの天ぷらをパクリ。
トリュフ入りもなくなった頃、こんどは若い料理人が
「アンデスの岩塩です」とピンク色の塊をすりおろしてくれました。
ああ、これだけで、すっかり山人の虜になっちゃった。
だし巻き卵、岩のりと卵が入った玄米ご飯、
水茄子、新玉ねぎのバター焼、トマトのコンポートなどなど
同伴者に「食べきれるんですか」と言われながら、次々に注文。
人気の店らしく、予約の時点で時間制限。しかし、
リミットの時刻がきても、目の前に並ぶ料理を食べきれず。
「店の前でよろしかったら」と店の女の子に言われ、
意味が分からぬままついて行くと、店の前の一角に
ベンチと樽のテーブルと炭火の用意が。
わざわざ店主が火をおこし、
作りたての帆立の薫製をあぶってくれました。
店を追い出した形となった詫びの気持ちでしょう。
でも、実はここが特等席。
座ってさらに2時間、楽しかった。
店を出入りするお客さんに声をかけたり、かけられたり。
煙草を吸いに店から出てきた男性は
何と中学校の一級後輩と分かり、名刺交換。
連れの人に引っ張られるようにして帰って行ったら、
こんどは浜田省吾のコンサートを聴きに来たという
鳥取の男性。料理を分け合いながら話が弾みます。
店内は満員で忙しいというのに、店主まで加わって
鳥取のエリンギがおいしいという話。
良いもの、おいしいものを求めて現地を訪ねるという
その熱意が舌に伝わってくる。
「この店もスタッフのみんなも大好きなんです」という
店の女の子の言葉に深くうなずく、
酔っぱらいうさぎなのでありました。
「山人」広島市中区富士見町4-28サンピアルネサンス1F
082-249-0366 午後6時~10時(日曜日休み)