どんなに忙しくても、
観たい映画があれば時間をやりくりします。
日々の糧で野菜が主菜ならば、本と映画は副菜。
恋はいのちの水といったところでしょうか。
で、夜遅く「愛を読む人」。
ドイツのベストセラー小説「朗読者」の映画化で、
15歳の裕福な家庭の少年が
うんと年上の独り暮らしの女性に恋をして、
彼女に会うたびbedで本を読み聞かせるという話。
物語はもっと複雑ですが、割愛。
もし、好きな人に読んでもらうなら
どんな本かしらと書棚の前で目にとまったのが、
長田弘の詩集「世界は一冊の本」。
アラフォーの頃に読んだ本で、
表紙は当時気鋭のブックデザイナー、
平野甲賀の手によるもの。
ブックデザインにも優れたものが多かった時代です。
本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。
書かれた文字だけが本ではない。
日の光、星の輝き、鳥の声、
川の音だって、本なのだ。
ブナの林の静けさも、
ハナミズキの白い花々も、
おおきな孤独なケヤキの木も、本だ。
・
世界というのは開かれた本で、
その本は見えない言葉で書かれている。
と結ばれた一編の詩に
今でも深い共感をおぼえます。
価値観というか大事にしたいものが、
ようやく定まった時期でもあったかと思います。
表紙裏には著者のサイン。
どこでどのように手に入れたか、
それは思い出せません。