6月の鎌倉はアジサイを見ようという人でごった返している。
修学旅行生、遠足の生徒、なぜかナップサックを背負ったお年寄りグループたち。
老若男女が押し寄せる観光地スポットを避けて、鎌倉文学館へ。
緑深い敷地に足を踏み入れると、静寂な空気に包まれる。
さらに奥へ、招鶴洞と名づけられた切り通しを抜けると、瀟洒な建物が見える。
ここは、加賀百万石藩主の系譜である旧前田侯爵の別邸。
現在は、鎌倉ゆかりの作家達の原稿や遺品を集めた記念館となっている。
若き日の大佛次郎のスナップ写真。ジャケットにマフラー姿のなんてエレガントなこと!
里見とんの遺品、犬とウサギを彫った象牙のステッキの柄をガラス越しに、うっとりと見入る。
寺でボランティア活動をする人、町のゴミを拾って歩く人、
山々に囲まれた鎌倉の地で暮らす人たちは、作家でなくともどこか知的な雰囲気。
土地が人を育てるのか、人が土地柄を作るのか、
いずれにせよ、鎌倉の住宅地はとてもいい感じです。