夜中に目が覚め、読み出したら止まらなくなったのが、
「人生最後の食卓」。
ドイツのジャーナリスト、デルテ・シッパーがハンブルグにある
ホスピスで働く料理人とその入居者に密着取材したドキュメント本です。
死まで2週間という患者たちが送り込まれてくるホスピス。
かつて超高級レストランで腕をふるった料理人ループレヒトは、
ここで「おいしいもの」の意味を学ぶことになります。
高価な食材でなく、凝った料理でなく、
楽しい時や好きな人を思い起こさせる幸福な味であることを。そして、
患者ひとりひとりのために、最後の瞬間まで楽しく生きていくための食事を作り続け、
それを自身の喜びとしていきます。
「人の寿命を延ばすことはできないが、一日を豊かに生きる手伝いはできる」
食べることがどれだけ大きな意味を持つか。
私の「幸せごはん」の、これからを導いてくれる言葉です。
充実した1日は、無為に過ごした1年にも引けをとらないと言えるだろうか。
誰もかんたんには答えることはできない問いです。