二十歳になったぼくが、もし 七十歳まで生きられたとしても、それでも 残りの春は五十回。二十歳のこの春も 二度とふたたび巡ってはこない。 たったの五十回。美しく咲いた花を 眺めるには、とてもじゃないが足りない。 さあ、どこまでも森の中を行こう。ふわりと 雪をかぶせたような桜に見とれながら。
一世紀以上愛誦されてきた英国の詩人ハウスマンの詩。 そうなんだ、もし七十歳まで生きられたとしたら、 あと十五回。たったの十五回。 だとしたら、この春をからだいっぱいに浴びよう。 明日など忘れて桜をみていよう。