旧約聖書の創世記より。
「神様は人間を祝福なさいました
全地に生える種のあるものはすべてお前たちのものだ
実のなる木も好きなように食べるがいい」
こうしてエデンの園ができ、
水、緑陰、実のなる木や花、池には魚たちなど
いわば人間が生きていくために必要な「食べ物」や「悦び」が
貯えられた空間が生まれました。
これが人と庭園のはじまり。
英語のガーデンは、ガン(gun防衛するの意)と
エデン(eden悦び)の合成語だそうです。
そして階級社会ができ、食糧生産が農民に任されると
ガーデンは富と権力の造形へと変質。
眺望第一の庭園意匠で飾られ、
命の糧を育てる農園は裏に回された、と。
そんな興味深い内容にふれる辰巳芳子著「庭の時間」。
本の中で紹介されている料理家辰巳芳子さんの家の庭は、
ゆず、梅、しそ、蕗、三つ葉など実や草が繁ります。
それで、思いだしたのが10年前にはあったわが家の裏庭。
台所口から出ては、蕗を摘み、山椒の葉を取り、
ゆずの実をカゴいっぱい穫りました。
家の改築時に更地にしてしまったことが悔やまれ、
野菜ソムリエの庭を育てようと思い立つ春です。