草原のど真ん中の一本道を あてもなく浪人が歩いている ほとんどの奴が馬に乗っていても 浪人は歩いて草原をつっきる はやく着くのが目的じゃないんだ 雲より遅くて十分だ この星が浪人に見せてくれるものを 見落としたくないんだ 葉っぱに残る朝露 流れる雲 小鳥のちいさなつぶやきを のがしたくない だから 浪人は立ち止まる そしてまた歩きはじめる
山田洋次監督の映画「学校」で、 主人公の少年が幾度もこの詩をつぶやく。 不器用で、まっすぐ。 満一歳、歩きはじめた孫の優大も そんな少年でいてほしい。