小雨の、街。 遠く天をつく梢に、ひらりとカラスが降りる。 ゆらりと梢はしなって、カラスもゆらり。 別の梢に、もう一羽。すると、またもう一羽。 ひらり、ゆらり、絶妙のバランス。 鉛色の空と、梢と、黒い鳥。 無声のモノクロ映画を見るようで、 赤信号で止まった車の助手席の窓に張りつく。 信号機がこのまま青に変わらなければいいのに・・・。