シニア野菜ソムリエ花井綾美と「広島の大地の旬」をいただきましょう
2008年9月19日
TOKYOアート その2

このたびの東京、宿泊はメトロ白金台駅から徒歩8分のシェラトン都ホテル東京。
建物は古いけれど、ゆったりと広いロビーが老舗の風格を保つ静かなホテル。
一休のサイトで見つけた、ツイン(2人)1泊16000円の激安プラン。
駅前のビジネスホテルと変わらぬ料金で断然おとく。
朝、大樹が繁る山をそのまま残したホテル内の庭を散策した後、チェックアウト。
歩いていて見つけた「喫茶ルノアール」でモーニングを食べる。
昭和の雰囲気を残す喫茶店で、日本茶のサービスも昭和生まれには懐かしい。

ゆっくりと朝食をとり、さてと東京都庭園美術館へ。
観なけりゃ絶対後悔するというAさんの言葉に押されて、
無理に時間を作って東京まで来た目的が、この「舟越桂 夏の邸宅」。
昭和初期、明治天皇の八女がフランス当代一流のアーティストを日本に呼び寄せ
豪奢なアールデコ装飾をほどこした旧朝香宮邸がそのまま美術館に。
建物自体が美術品といえる空間と、舟越桂の彫刻のコラボレーション。
ふつうの美術館の無機質な白い箱の中でしか観たことのなかった彼の作品が、
邸宅のクラシックな空間、フランスのガラス作家ラリックの手による
すばらしい照明によって魔法をかけられ、Excellent!の一言。
館内は撮影禁止で展示の様子をお伝えできないのが残念だけど、
たとえば「夏のシャワー」と題されたメガネの知的な男性像は、
重厚なチークの書棚に囲まれた書斎で静かに物思うように佇んでいた。
「森へ行く日」「言葉の降る森」「冬の本」など、彼の作品はタイトルが詩的でいい。

午後、白金台から六本木へ。
東京ミッドタウン内のサントリー美術館で「江戸の小袖展」を観た後、
飛行機のフライトまでの時間つぶしに、すぐ近くの国立新美術館でお茶を飲む。
故・黒川紀章設計で話題となったガラス張りの建築。
建物の内に入って「これ、ガラス拭くのが大変よねー」と喋っていたら、
そばで暇そうに立っていたガードマンが問いもしないのにガイドをしてくれた。
写真手前の丸い屋根は来館者用の傘置き場で、外壁は20枚の湾曲ガラス。
1枚50万円の特注ガラスで、これが再々パリンと割れる。
強風が吹く高台にあるため、美術館本体のガラスもパリン、パリン。こちらは1枚20万円。
ガラス張りの温室効果で、はじめて迎えた夏は予想以上の暑さでパニック。
さらに大容量のものに入れ替えられたエアコンが、
ビル12階高さに相当する吹き抜けの巨大空間をガンガン冷やしている。
都民の血税でエコ時代に逆行したカネ食いビルを造った行政の無神経さに、
ガードマンさんも苦笑い。

IT長者の住まいとして有名になった六本木ヒルズ前の路上に、
作家ものと思われる高そうなガラスの椅子が無造作に置かれていた。
奇しくも世間はアメリカの証券会社Lehmanの倒産で大騒ぎ。
ヒルズ最上階で暮らす何人かも背筋を凍らせているかも。
ひんやりとしたガラスの座り心地がバブル経済の脆さを思わせて皮肉。
と、わっちもサブプライム問題は他人事でなく、持っている投信は軒並み元本割れ。
でも、きれいなものを観て心がルビーのような赤色に染まると、
「まあ、いいや」という気になってくる。
それじゃすまない状況に進まぬことを願いつつ、
これから、10月はじめの野菜ソムリエの修了試験に向けてお勉強。
世界の大国アメリカ、体力を出しきってがんばれ!

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