孫の花と家の中でかくれんぼ。
「もう、いいか~い ♪」クローゼットのなかで息をひそめます。
小さな足音が近づいて遠ざかり、暗がりのなかで夏の記憶がよみがえります。
待てども鬼は来ず、出るに出られず校庭の隅で心ぼそさにうずくまった夕暮れ。
5時に鳴る夕焼け小焼けのチャイムで生き返ったっけ、
と遠い思い出が波のように寄せては返す蝉しぐれの朝。
もはや少女ではないバアばあちゃんは、悠長に待ってもいられず、
もう、いいよぉ~と大声で花を呼ぶのでした。