朝晩、めっきりと秋らしくなり、この夏さんざんお世話になった
きゅうりともお別れ。送別の儀式に「冷汁」を作りました。
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冷汁は、同じようなものが全国に郷土料理としてあります。
魚が手に入る地方ではいりこやアジが出汁として使われ、
東北の方では、野菜と豆腐だけ。
同じ冷汁でも地方によって具が少しずつ異なるようです。
共通するのは、
忙しい農作業のなかで簡単に栄養補給ができるようにとの
農家の人たちが持ち前の知恵を働かせたレシピであること。
きゅうり、みょうが、しそなど夏野菜に白ゴマをたっぷりと加えた、
暑い日でも食欲をそそる一品です。
早く言えば冷たいみそ汁である冷汁には必ず味噌が使われますが、
作り方には「冷汁の味噌は焼いてから加える」とあります。
味噌を焼くことにより味噌の強さを押さえ、他の具材とのバランスをとりつつ、
ただの「冷えた味噌汁」から「冷汁」という料理に昇華させます。
冷たい汁に、味噌の生臭さは致命的.
また、味噌を強く加熱して焦がすと、とても良い香りが生まれます。
アミノ酸と糖類が化学反応を起こして生まれるメラノイジンの香りです。
同時に糖類のカラメル化・脂肪の分解によるディープフライフレーバーの生成が起きます。
この3つの化学変化によって生まれた物質が総合されたものが「おこげ」です。
味噌を水で湿らせた木ベラにつけて、軽く焦げ目をつけます。
「やっぱりガスコンロにかえて良かった」と、思う瞬間です。
作ってみましょ! 「農家の冷汁」
材料 みそ、きゅうり、木綿豆腐、白ごま、その他好みでミョウガ、しそなど。
①いりこと昆布で濃いめの出汁を取っておく。
②きゅうりは薄い輪切りにし、塩もみをしておく。
③出汁を火にかけ、火にあぶったみそを溶き入れる。
④きゅうり、その他の野菜、手でちぎった豆腐を加えて煮る。
④冷やして、すった白ごまを加える。
⑥そのままか、温かいごはんにかけていただく。