さて昨日の続き、 山へ木を植えに行く漁師の話です。
実際、有明海で漁をする人たちが阿蘇山付近にあがって植樹をしたといいます。
1994年の話です。
では、なぜ山へ? 山に登ると、足元はフカフカ落葉のカーペット。
湿り気をふくんで森の香りを放ちます。
そう、落葉樹の保水力が豊かに水を蓄え、有機物をふくんだ山水は川となって、海に流れ出て、
山の水にふくまれた有機物は海のプランクトンたちの栄養となり、プランクトンを求めて魚たちが集まり、
集まった魚たちを漁師たちは日々の糧にするというわけです。
実に良く仕組まれた自然の循環。 その自然の命の連鎖を断ち切るものは、むやみに行われる山木の伐採。
木を失った山は乾き、海に魚もいなくなってしまいます。
だから困った漁師たちは、山へ行き自らの手で木を植えなくてはならないのですね。
自分の行為が周囲に及ぼす影響を考えながら暮らすこと、とても大事なことだと思います。
たとえそれが日常的な小さな行為だとしても。反省。
余談ですが、山へ行き、気持いい、きれいと感じるのは落葉樹林の森。
夏には繁り、冬には葉を落とします。季節とともにある姿がいいです。
落葉樹が多い山では保水力があり、安定していますが、
針葉樹(常緑樹)の多い山では水はすぐに流れてしまい、晴天が続くと枯れてしまいます。
その差はすぐに実感できます。晴天が続いたときでも、
堆積した落ち葉(つまり落葉樹林帯)をわずかに退けるだけでもう湿っていることがわかるでしょう。
これが保水力です。 もちろん他の要因もあります。
万年雪があれば、夏場はずっと水は供給されることになりますし、
逆に、冬は凍ってしまって、水は流れません。等々。