畑に寒風が吹きすさぶ頃、姿をあらわす「寒ジメほうれん草」。
地を這うような形、ゴボゴボに縮まった葉。
知らない人はこれがほうれん草とは気づかないでしょう。
いったいなぜそんな姿に?
寒くなって土の温度が下がってくると、
ほうれん草の根の温度も低くなり水も肥料も吸い上げなくなります。
水を吸わなくなると葉は乾燥を防ぐかのようにギュっと縮んで凸凹になります。
水分を吸わなくなった分甘みが凝縮され、
とくに茎の部分は果物にも負けないほど甘くなります。
糖度が上がる一方、えぐみを感じさせるシュウ酸の量は減るので
生のまま炒めてもOK。
濃厚な味と歯ごたえで、ほうれん草を味わう喜びを満足させます。
茹でる場合は30秒ルールを忘れないで。
熱湯で30秒、そのままザルに上げて冷ますと余熱でちょうど良いやわらかさになります。
地を這うような形は、日照時間の少ない冬に光を最大限に受けられるよう
太陽に向かって葉を広げるため。
生をまっとうするために形まで変えちゃう、野菜ってすごいでしょ?
寒ジメに限らず、ほうれん草は冬が旬。
冬だからおいしい。