広島の伝統野菜、笹木三月子大根(ささきさんがつこだいこん)。
三月子大根(二年子大根)と聖護院大根のかけ合わせで、
2月頃から収穫が始まり、3月が旬。
甘味が強く、水分が少なく緻密なので、
生食はもちろん天ぷらにしてもおいしいのが特長。
昭和31年の頃より安佐南区の笹木さんという方が、
耕土の浅い水田裏作でも栽培でき、
ほかの大根の収穫が終わる3月頃に出荷できる品種として育種。
昭和50年代までは盛んに栽培されたものが、次第に衰退。
それを再び地域の農家さんたちが力を合わせて復活させ、
今では他の大根では味わえないおいしさで人気が高まっています。
ただ、果肉にひび割れがしやすく出荷量が少ないことから、
一般に流通するには至らず、栽培地域の朝市での販売が中心。
毎週土曜日にひらかれる野菜市では、
オープン20分で売り切れごめんです。
笹木さんがお亡くなりの後、
15年もの歳月をかけてつくりあげた種だからと、
奥様が毎年種を取って保存。
それを地域の人たちによって復活させた大事な大根。
現在、栽培農家は15軒。
種を取っておられる笹木さんの奥様もご高齢で、
後継者のあてがないのが悩み。
身近にある野菜を活かして、培われてきた地域の食文化。
地域の野菜、その種は生きた文化財とも言えます。
どんどん新しい品種が改良されて行く中で、
地域の歴史と文化を記憶する伝統野菜の保護育成は、
生産する人と食べる人がいっしょになって取り組まねばならない
だいじなことです。
野菜の「種」は生きた文化財です。
次代に引き継ぐことは生物多様性の保護であり、