ひとりの旅ならば足を向ける気にならない名所観光も、
85歳の母との最後の旅になるやも知れぬと思うと、素直に楽しめる。
と言うわけで、「ひめゆりの塔」の次は、世界遺産「首里城」。
海洋国家琉球王国、その独特の建築技術を見る。
広い園内、高齢の母のために車椅子を借りる。
日頃から年寄り扱いを嫌がる母、図らずもこの日が車椅子デビュー。
車椅子を押す手に日傘は持てず、南国の太陽がジリジリと顔を焼く。
うらめしく思いながらも、親孝行焼けと諦める。
初日の観光を消化し、車はヤシの海岸道路を走って宿泊先「万座ビーチホテル&リゾート」へ。
部屋はオーシャン・ビュー。海のそばには白いチャペルが建ち、
滞在中、バルコニーから5組のカップルの幸せそうな姿を眺めることができた。
新婦の細くくびれたウエストを純白のドレスが包み、新郎の手がその腰を優しく引き寄せる。
「うらやましいなー」とつぶやいたら、「あんただってそんな時があったでしょ」と母。
そうだ。ハネムーン先のハワイで結婚指輪を指から引き抜いて喧嘩したことを思い出した。
帰る!と言って一人分の航空チケットを手配しようとしたら、えらく高額なのでやめた。
夕食は、ホテルの洋食バイキング。
野菜ソムリエといたしましては、まず先に地元の野菜をチェック。
ありました、見たことのない赤い葉っぱの「ハンダマ」。
かすかなアクと苦みが感じられるものの、歯応えがあっておいしい。
その他、海ぶどうやシークワーサなど沖縄の食材を楽しんでお腹いっぱい。
ずっしり重たい母の財布に甘えて、ごちそう三昧の沖縄。
体重1㎏ゲットで帰路につくことになろうとは、思いもしない夜でした。
明日に続く・・・