


「原爆の日」に平和記念公園を訪れたのは、
母に手をひかれて灯籠を流した小学生の時以来。
暮れなずむ空に浮かぶ原爆ドームが頭上に頂く有刺鉄線が、
世界平和を希求する道の険しさを象徴しているようで、
見上げながらしばらく多くのことを思った。
この地上から戦いを無くすことは容易ではない。
でも、こうして親しい友と笑い喋りながら川べりを歩ける平和を思い、
川面に浮かぶ灯に手を合わせることに小さな意味があると思う。
お父さんに肩車されてはしゃぐ子も、海外から訪れた青い目の青年も
みんなが何かを感じながらドームを見上げる8月6日の夜。
遠くタイのセブ島で暮らす子が平和への祈りを託した灯籠を、
その子に代わって川に流した。